私たちについて

彦根城世界遺産登録への取組を機に、登録後の広域まちづくりを考える上で、世界遺産と観光、経済との関係について改めて考え、共有する必要があります。
このことについて、国連世界観光機関(UNWTO)では、【観光の経済的、社会的現象】に関する考えが示され、彦根城世界遺産登録推進シンポジウム「世界史における近世城郭の意義」(2022.7.3 東京)でも紹介されています。

『何十年にもわたって、観光業は継続的な成長と多様化の深化を経験し、世界で最も急速に成長している経済部門のひとつになった。これらのダイナミズムは、観光業を社会的発展の主要な推進力に変えた。』

その上で、≪世界遺産はその保護、保存、持続可能性に重点が置かれたユニークな観光名所である≫と述べています。
観光は、今や私たちの想像をはるかに超えます。
世界遺産の意義を正しく理解した上で、世界遺産と観光は密接に関係していることを認識する必要があります。
スイスでは、マスツーリズムによる短期型観光の増加により、長期滞在が減少することへの危機感から、観光統計をこれまでの「何人」から「何泊」へと指標を変えました。
観光の定義は、観光関係者だけでなく、観光地域づくりを担う地域住民を含めた多様な業種、関係者の取組であるとされ、一過性ではなく持続可能な観光発展を目指すためにも、そこに住む人々がふるさとを愛し誇りを持つことで、内外の観光客を引きつける大きな魅力と原動力になります。
当コンソーシアムは、このような趣旨の下、それぞれの地域固有の歴史と文化を大切にしながら新たな光を当て、世界遺産都市に相応しい持続可能なまちづくりに向けて、圏域および県下一丸となって事業を展開してまいります。

彦根城世界遺産登録の実現を目指し、湖東湖北5市4町の経済・観光団体により、「世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアム」を2021年11月17日に設立しました。
所属団体は、彦根・長浜・近江八幡・東近江・米原の5市と愛知郡・犬上郡の4町の商工会議所、商工会、観光団体、一般社団法人近江ツーリズムボード、一般社団法人びわ湖の素DMO(米原市)の23団体。
この度の広域連携を機に、啓発動画をバージョンアップしましたので、広くご活用いただきますようお願いします。
今後は、コンソーシアムメンバーが協力して一丸となり、機運醸成のための啓発活動や、広域的な観光誘客のための情報発信を進めてまいります。

広域連携に民間の活力を(PDF)

彦根城世界遺産登録に向けてコンソーシアム設立 - 不易流行

構成団体

世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアム構成団体

  • 長浜商工会議所
  • 彦根商工会議所
  • 近江八幡商工会議所
  • 八日市商工会議所
  • 安土町商工会
  • 東近江市商工会
  • 愛荘町商工会
  • 稲枝商工会
  • 豊郷町商工会
  • 甲良町商工会
  • 多賀町商工会
  • 米原市商工会
  • 長浜市商工会
  • (一社) 近江八幡観光物産協会
  • (一社) 東近江市観光協会
  • (公社) 彦根観光協会
  • (一社) 愛荘町観光協会
  • 豊郷町観光協会
  • 甲良町観光協会
  • (一社) 多賀観光協会
  • (公社) 長浜観光協会
  • (一社) びわ湖の素DMO
  • (一社) 近江ツーリズムボード

事業計画(案)

ⅰ 登録への機運醸成のための啓発活動
ⅱ 彦根城世界遺産登録に関する広報活動
ⅲ ニューノーマル時代のデジタルシステムを活用した情報発信
ⅳ 世界遺産に関する学習機会の提供
ⅴ シビックプライドの醸成

1.世界遺産姉妹都市の締結と連携(ⅰ・ⅱ・ⅳ・ⅴ)

地方自治体は少子高齢化による人口減少問題に直面しており、持続可能な地域社会づくりによる地方創生が喫緊の課題になっている。今日における姉妹都市は、国内外の一対一だけではなく複数自治体間、さらに国内複数自治体と海外自治体など、様々な形態へと発展している。
新たな視点をもち、5市4町の広域で、世界遺産姉妹都市の締結を目指す。

2.コンソーシアム版『湖東湖北TreasureHunting』 出版とウェブサイト運営(ⅰ・ⅱ・ⅲ)

近江ヒストリア講座でキュレーションを継続しながら、外国語版 湖東・湖北のガイドブックを製作する。
コンテンツはウェブサイトでも発信していく。

3.シンボルイベント「ラバーダック」展示(ⅰ・ⅱ・ⅲ)

世界を旅する黄色い子アヒル・ラバーダックは、美術館などの限定的な空間ではなく公共の河川や海などの水辺をバスタブに見立て、街並みをも背景として取り込んだパブリックアート。オランダ人アーティスト、フロレンティン・ホフマン氏により2007年に製作され、これまでにヨーロッパ、南米、アジア、オセアニア、中東、北米と、世界中の地域をめぐっている。
作品のコンセプトは、「政治的な意味合いで分断される国境もなく、年齢や人種など、異なった背景を持つすべての人々に癒しを与え、子供のころの記憶や思い出を呼び起こさせる、幸福の象徴であること」。
ラバーダック「幸福の象徴」と彦根城「平和の象徴」の邂逅を実現する。

4.世界遺産「比叡山」との連携(ⅰ・ⅱ・ⅳ・ⅴ)

滋賀県大津市にある延暦寺は「古都京都の文化財」のひとつとして世界遺産に登録されている。
彦根城の世界遺産登録により滋賀県は2つの世界遺産を有することになり、琵琶湖を中心とした新たなまちづくりの展開を期待できる。

「大正の広重」と呼ばれた吉田初三郎は、大正から昭和初期の大観光ブームの最中、日本内外の旅行パンフレットに鳥瞰図描いた人物である。鳥の目で上空から描いた大胆な構図は、極端にデフォルメされていたが、わかりやすく詳細な情報が盛り込まれ人気だった。初三郎の手がけた鳥瞰図は3000以上、必ず富士山が描き込まれている。
『琵琶湖遊覧御案内』(大正十五年 太湖汽船株式会社)もそのひとつで、「富士と琵琶湖、そは世界に対して我等日本人が優美を誇る象徴の双璧であらねばならぬ。あまねく全国に写生旅行を試みたるも、未だ琵琶湖のごとく、交通至便にして風光美の雄大なるを見ず」と書き記している。

琵琶湖名所鳥瞰図(個人蔵)

5. ウェブサイトの運営「LAYERED」(ⅰ・ⅱ・ⅲ・ⅳ・ⅴ)

現在、海外に多くのファンを持ち、Instagramのフォロワーは26万人を超えるフォトグラファー保井崇志(やすいたかし)氏に依頼し、湖東・湖北エリアのスチルとショートムービーの撮影が行われている。
現代の世界では、「機能的価値=役立つ」から「情緒的価値=意味がある」という流れがあり、価値の軸足の大きな変更が必要になってきている。このサイトは、テキスト情報で魅力を伝えるのではなく、スチルとショートムービーで、世界遺産が存在する湖東・湖北のニュアンスを伝えようとするものだ。彦根城、多賀大社、西明寺、金剛輪寺、竹生島などは既に撮影済みで順次エリアを拡大していく。勿論、インフルエンサーの協力により一気に拡散できるよう計画している。

6. 近江ヒストリア講座の開催

コンソーシアム事業のコンセプトは「LAYERED」である。どのように歴史が重層的に存在しているのか、鉱脈を探索し発掘するキュレーションを手法として近江ヒストリア講座を展開していく。
また、講座開催と調査や研究は、歴史を紡ぐ新たなコンテンツとなり、デジタルシステムを活用した情報発信や広報活動、出版事業のコンテンツとして期待できる。
2024年2月までに、「長命寺」(近江八幡)、「竹生島」(長浜市)、「徳源院と勝楽寺」、「百済寺と石塔寺」の近江ヒストリア講座を計画している。

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